心筋症遺伝学的検査のご案内

信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センターでは、心筋症の遺伝学的検査を実施しております。

 

1)解析対象疾患と遺伝子

肥大型心筋症(および関連疾患) (複雑5,000点)
対象遺伝子 ACTC1, ACTN2, CSRP3, JPH2, MYBPC3, MYH7, MYL2, MYL3, PLN, TNNC1, TNNI3, TNNT2, TPM1
鑑別のために結果開示の対象とする遺伝子(左室肥大のみが認められる場合のある症候群) ALPK3, CACNA1C, DES, FHL1, FLNC, GLA, LAMP2, PRKAG2, PTPN11, RAF1, RIT1, TTR
拡張型心筋症(非保険)
対象遺伝子 ACTC1, ACTN2, BAG3, DES, DMD, DSP, FLNC, JPH2, LMNA, MYH7, NEXN, PLN, RBM20, SCN5A, TNNC1, TNNI3, TNNT2, TPM1, TTN, VCL
不整脈原性右室心筋症(非保険)
対象遺伝子 DES, DSC2, DSG2, DSP, JUP, PKP2, PLN, TMEM43

 

2)機器

Ion Torrentシステム(Ion ChefおよびIon GeneStudio S5)

 

3)報告対象バリアント

以下の通りに、バリアントに情報を付与し、候補バリアントをその解釈とともに報告します(生データの返却はしません)。

  1. 検出されたバリアントに対して、SnpEff/SnpSiftを用いて、遺伝子名、バリアントの種類、一般集団におけるバリアント頻度、機能予測プログラムなどの情報を付与します。
  2. 海外の一般集団のデータベースgnomAD(The Genome Aggregation Database)1.1 Exomes、日本人の一般集団のデータベース8.3KJPN(東北メディカル・メガバンク機構)あるいはHGVD(Human Genetic Variation Database)version 2.3における頻度が5%以上のバリアントを除去します。
  3. 機器特有のエラーを除去します。
  4. 同義置換については、スプライス部位に対する機能予測プログラムが病原性を支持している、あるいは、ClinVarでの評価がPathogenic、Likely pathogenicであれば残しますが、それ以外は除去します。
  5. 一般集団におけるバリアント頻度と疾患頻度の比較、遺伝形式の確認をします。
  6. Human Gene Mutation Database Professional最新版、ClinVar、Global Variome shared LOVDを用いて論文報告があるかどうかを調べます。
  7. MYH7バリアントの場合はClinGen Cardiomyopathyエキスパートパネルガイドラインにしたがって評価を行い、Pathogenicバリアント、Likely pathogenicバリアント、VUSを報告します。それ以外の遺伝子バリアントの場合はACMG/AMPガイドライン(2015; ClinGen SVI WG recommendations)にしたがって評価を行い、論文報告のないバリアントに限り最終評価をつけ、Pathogenicバリアント、Likely pathogenicバリアント、VUSを報告します。
  8. 報告対象のバリアントはサンガーシークエンスで確認します。

 

4)検査法の限界

本検査法においては、ゲノムDNAを用いて、翻訳領域およびスプライス部位におけるバリアントを検出します。それ以外の領域(転写調節領域、ディープイントロンなど)については検出することができません。ターゲット領域内においてもカバーできていない領域が存在します。遺伝型を正しく判定するためには20×以上のcoverage depthが必要ですが、これが低い領域については検出できない可能性があります。また、エクソン〜遺伝子単位の欠失/重複の検出はできません。

 

5)検体の受領と搬送

貴施設からの血液・依頼書の受領、DNA抽出、当施設へのDNA・依頼書の搬送は株式会社ビー・エム・エルに委託しています(検体採取容器:EDTA-2K真空密封型採血管、採取量:血液5mL)。

 

6)解析報告書の返却

当センター到着後90日以内に、レターパックプラス(対面でお届けし、受領印または署名をいただく)で返却します。

 

7)その他

発端者に検出されたバリアントの病原性検証のための共分離解析(無症状の両親に対するサンガーシークエンス)は無償サービスで実施します。

 

病院間契約が必要です。価格、契約詳細、その他ご不明な点はclinical-seq(at)shinshu-u.ac.jp(※(at)は@に置き換えてください)にお問い合わせください。

第3回JEFA賞の授賞式が行われました

当教室大学院修了生の本学整形外科の磯部文洋先生と当教室の高橋有希さんが、2024年5月11日にNPO法人日本エーラス・ダンロス症候群協会(JEFA)の2024年度会合(講演会・交流会)で、第3回JEFA賞の授賞式に参加し、受賞演題の発表を行いました。

数年ぶりの対面のみの開催となりましたが、当教室の古庄知己教授の医療講演や交流会もあり、多くの患者さんや医療関係者の皆様が集まりました。

信州大学・長野県立こども病院連携大学院生 佐藤梨里子先生らが18トリソミー症候群における難聴の臨床的特徴と補聴器による治療効果を解明

長野県立こども病院耳鼻咽喉科(信州大学・長野県立こども病院連携大学院)の佐藤梨里子部長、医学部医学科耳鼻咽喉科頭頸部外科教室の吉村豪兼講師らのグループが、18トリソミー症候群における難聴の臨床的特徴と補聴器による治療効果を解明しました。

詳細につきましてはこちらをご覧ください。

臨床研究のお知らせ

「信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センターにおける神経線維腫症 1 型を持つ患者の実態調査」に関する臨床研究を実施しています。詳細についてはこちらをご覧ください。